カバーステッチミシンの工業用は家庭用のものと何が違うのか

カバーステッチミシンを購入しようと考えたとき、ネットで検索をすると家庭用のものと工業用のものが出てきますよね。

価格を見ると、家庭用のものと工業用のものではかなり差があることが確認できると思いますが、この価格の差っていったいなんなの?という疑問がわくのではないでしょうか。

くじらいは縫製工場に10年ほどいて、工業用のカバーステッチミシン(平二本、扁平縫いミシン)の扱いと製造ラインで必要な調整ができます。

実際に工業用のカバーステッチを使っていたときの体験をもとに、今回はカバーステッチミシンの工業用と家庭用の違いについてご紹介したいと思います。

それでは一緒に見ていきましょう(^^♪

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カバーステッチの工業用と家庭用の違いは、

  • 縫い目の精度
  • ミシンの運転スピード
  • アタッチの選べる幅
  • 調整のしやすさ

この4つだと感じでいます。

それではそれぞれの項目について確認をしていきます。

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工業用と家庭用では縫い目の精度が違います。

どちらのタイプも縫い目を形成する方法は同じなのですが、ミシンを構成する部品と組み立ての精度は工業用のミシンの方が優れています。

ミシンの調整というものは、それぞれの部品の取り付け位置や、タイミングなどコンマ何ミリという精度が要求されるものです。

部品や組み立ての精度が悪いと、これらの部分に狂いが出てしまい、縫い目の精度が落ちてしまうんです。

もちろん、家庭用ミシンの精度が悪いというわけではなく、工業用のものと比べると劣るというだけですので、家庭用ミシンを使っていると縫い目の精度が悪いというわけではありません。

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ミシンの運転スピードは確実に工業用ミシンの方が早いです。

最近の工業用ミシンはダイレクトドライブ方式になっていますが、くじらいが縫製工場にいたときは、ミシン台の下にでっかくて重たいサーボモーターが取り付けられたものがほとんどで、そこからベルトをミシンにかけてミシンを動かすという方式でした。

縫う生地の素材が繊細なものはあまり高速で縫うと、生地糸切れを起こしたり、送り歯によるキズがついてしまうことがあったため、ある程度はスピードを落として運転していましたが、それでも1分間に2800〜4000回転ほどのスピードにはなっていましたね。

家庭用カバーステッチミシンの運転スピードが1分間に1000〜1300回転ほどなので、工業用ミシンのスピードとは比べ物になりません。

工場にとって納期は命より大切なもの。

その納期を守るためには1秒でも早く正確に製品を仕上げていかなくてはなりません。

そのためにはモノの取り置き動作はもちろんのこと、ミシン自体の性能(スピード)も必要になるわけです。

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工業用カバーステッチミシンにはかなりの種類のアタッチメントが用意されています。

押さえ金、針板、送り歯、ガイドなど様々な形のものが存在していて、これらを工程にあわせてセッティングを変えていきます。

特に針板は糸調子に直結するところがあり、飾り糸が巻き付く部分をヤスリで削り、厚みや長さを調整することによって、糸の抜け具合を調整するということもしていましたね。

送り目が長く、生地もしっかりしたものであれば針板は無加工の状態で使用することもできるのですが、くじらいのいた縫製工場は基本的には繊細な素材ばかりで、送り目もそれに合わせてかなり短めな設定が多かったため、必ず針板は加工してから使うということをしていました。

加工をするためには、針板を固定するバイス(万力)ダイヤモンドヤスリ、布ヤスリ、青棒(研磨剤)が必要になり、知識ゼロの状態でお家で加工するのは難しく再現性がひくいため、この場での説明は割愛させてもらいます。←問い合わせがあれば説明させてもらいます

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家庭用ミシンは簡単なトラブル以外の調整は基本的にお家ですることが想定されていません。

そのため、内部の調整をするためには、外側のカバーをすべて外したりする必要があり、それだけでも結構手間だったりします。

ですが、工業用ミシンの場合は、ミシントラブルに素早く対応したり、微妙に調整を変えたい時にすぐできるよう、調整箇所へのアクセスがとてもしやすい作りになっています。

整備用の説明書も存在はしているので、それを見ながら自分で調節することも可能なのですが、そこに載っている基本的な調整方法を習得するためには少なくとも1週間ほどみっちり練習をする必要がありますが^^;

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以上がカバーステッチミシンの工業用と家庭用の違いについてのご紹介でした。

性能やメンテナンスのしやすさなど、どれを取っても工業用に軍配があがるのですが、ミシン自体がとっても好き!なにか自分で商売がしたい!という方以外にはお値段的にオススメできません^^;

また、設置スペースや騒音の問題も出てくるので、自宅に導入を考えている方は、これらの問題について事前によく確認しておくようにしましょう。

このKujiraiの日記を読んでくださる方が、工業用と家庭用ミシンの違いを理解して、自分のライフスタイルにあったミシンを選ぶことができますように。

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それでは、またね。